ものすごく嬉しいこととか、ものすごく悲しいことがあったときに、人は何かを書けないという話。 あるよく晴れた日曜の昼下がり、我々は恵比寿のミシュランで2つ星を取ったというレストランでランチをした。他のテーブルにはご近所さんであろう上品な家族と、マダムたちのランチ会が開かれている。 わたしといえば、ミシュラン付きのレストランということで晩餐会みたいな格好で来てしまった。途中、花屋さんで買った花を抱えて。 なぜなら、この会ではとてもおめでたいことが起こるからだ。分断に満ちたこの世界において起こる、数少ない融合と幸福をしめす出来事。つまり、 「入籍するから、婚姻届の保証人になってほしい」 と言われ、やってきたのである。 私が新郎に最後にあったのは12月半ばぐらいで、その頃、奴は彼女すらいなかった。それが、12月23日に最初のデートをして、元旦から付き合って、もう入籍することになったそうだ。 「きみ