『風雲児たち』という歴史マンガでお馴染みのマンガ家・みなもと太郎さんは、1947年生まれだから団塊世代のど真ん中だ。物心ついた頃からマンガを読み、ひらがなは全部マンガで覚えたという。当時は物資が不足している時代で、当然マンガも少なかったけど、そういう中でみなもとさんは貪るようにマンガを探し、読み続けていたという。 それが、小学校に上がったり中学校に上がったりする頃になると、状況が変わってくる。一つは、高度経済成長で日本が豊かになり、それまで以上にマンガが読みやすくなったこと。もう一つは、団塊の世代がとにかく人が多かったので、その層を狙ったマンガ単行本や雑誌が次々と刊行されたこと。みなもとさんたちが小学生の頃に少年月刊誌が創刊され、中学に入ると少年週刊誌が創刊され、大人になると劇画青年誌が創刊された。つまり、マンガというエンタメ産業あるいは文化の成長は、団塊の世代の成長とともにあったのだ。