ペパボ研究所客員研究員の力武健次(りきたけ・けんじ)です。この記事では、ここ10年ほど力武が研究対象の1つとしてきた、コンピュータで扱うランダムネス(乱雑さ)と物理乱数の扱い方について述べます。(文中敬称略) コンピュータとランダムネスは相性が悪い ランダムネス(randomness)は日本語では「乱雑さ」と訳され、一切の法則性を持たず、予測が不可能な状態のことを指します。コンピュータは基本的に人間がプログラムした通りに動き、それ以外の動作をしないことが前提となっている機械ですから、ランダムネスから最も遠い存在です。 しかし、あらゆるものが事前にプログラムされ、予定調和となっている決定的なアルゴリズム手法だけでは、現実の問題には対応できません。いくら周到に準備しても予定外や想定外のことが起こるのは不可避である以上、これらに対して可能な限り備えてプログラムを書く必要があります。そのためには、