◆『上昇(アップスウィング) アメリカは再び〈団結〉できるのか』=ロバート・D・パットナム、シェイリン・ロムニー・ギャレット著、柴内康文・訳 (創元社・4950円) 「逆U字カーブ」検証 圧倒的な読後感 微温的な日本の政治風土からすれば2021年にアメリカで勃発したトランプ支持者による合衆国議会議事堂襲撃は想像を絶する事件だった。民主主義を、誰を支持するのか以上に投票結果を尊重することだとみなすなら、アメリカはもはや民主主義の体をなしていない。いったいアメリカでは何が起きているのか。 著者のうちR・パットナムは個人間のつながりや、見返りを求めずコミュニティーに参加する社会的絆を指す「社会関係資本」を政治学において提案したことで知られる。「社会関係資本」はいまや経済や社会の分析にも応用されている。主著『孤独なボウリング』(00年)では、アメリカで長らく市民が興じ人種や年齢、職業を超えて友愛の