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文学と小説に関するyurikissのブックマーク (47)

  • 蜘蛛の糸 - 芥川龍之介

    ある日の事でございます。御釈迦様(おしゃかさま)は極楽の蓮池(はすいけ)のふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。池の中に咲いている蓮(はす)の花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色(きんいろ)の蕊(ずい)からは、何とも云えない好(よ)い匂(におい)が、絶間(たえま)なくあたりへ溢(あふ)れて居ります。極楽は丁度朝なのでございましょう。 やがて御釈迦様はその池のふちに御佇(おたたず)みになって、水の面(おもて)を蔽(おお)っている蓮の葉の間から、ふと下の容子(ようす)を御覧になりました。この極楽の蓮池の下は、丁度地獄(じごく)の底に当って居りますから、水晶(すいしよう)のような水を透き徹して、三途(さんず)の河や針の山の景色が、丁度覗(のぞ)き眼鏡(めがね)を見るように、はっきりと見えるのでございます。 するとその地獄の底に、陀多(かんだた)と云う男が一人、ほ

  • ヨルシカ「盗作」書評 オルゴールの外側へ(作家・三秋縋)|好書好日

    >「思想の種子をめちゃくちゃまき散らしたい」三秋縋さんとヨルシカの鼎談記事はこちら 三秋縋さん書評「オルゴールの外側へ」 海外小説を読んでいると、あの献辞というやつがやたら目に付く。「私を支え続けてくれた誰それに捧げる」「誰それにたっぷりの愛を込めて」みたいなあれだ。 僕が献辞を捧げるとしたら相手は誰になるだろうか、と時々考える。多分それは他ならぬ自分自身になってしまうのではないか。「僕を支えてくれた僕の両足へ」とか、そんなところだ。僕は誰かのためにを書いたりしないし、罪のない誰かを僕の情けないの共犯者に仕立て上げたりもしない。そして何より、僕は自分自身を楽しませるためにものを書いている。八割くらいまでは。残りの二割は生活のためだ。日によってこの割合は大きく変わる。自分のためにものを書き続けるのもそれはそれで疲れるからだ。何せ彼は常に自身の限界の先にあるものを要求してくる。生活のため

    ヨルシカ「盗作」書評 オルゴールの外側へ(作家・三秋縋)|好書好日
  • 住野よるが「10代の心」に刺さるのは一体なぜか?(飯田 一史) @gendai_biz

    『君の膵臓をたべたい』(『キミスイ』)が大ヒットした住野よるの小説『青くて痛くて脆い』を原作とした実写映画が2020年8月28日に公開される。 住野よるの作品は『キミスイ』『青くて痛くて脆い』以外にも、幅広い年代の人たちから支持されているが、とくに中高生から絶大なる人気を集めていることが注目に値する。 ここではその理由を作品のテーマ性と、用いられている技法(小説上のテクニック)の関係から考えてみたい。 中高生からの人気の高さは完全に「別格」 中高生が実際に読んでいるを調べる方法としては、全国学校図書館協議会と毎日新聞社が毎年発表している「学校読書調査」内の「5月1か月間に読んだランキングや、トーハンがやはり毎年発表している「「朝の読書」(学校)で読まれた」がある。 これを見ていくと、いずれの調査でも2016年には『君の膵臓をたべたい』が中高生の読んだとしてランクインしており(

    住野よるが「10代の心」に刺さるのは一体なぜか?(飯田 一史) @gendai_biz
  • 文房具屋のおじいさん|青木杏樹

    2015年の春のこと。 わたしはまだ青木杏樹ではなく、ただ趣味小説を書いている人でした。毎日毎日、400字詰め原稿用紙を20枚ワンセットを消費しては、文房具屋に買いに行きました。帰宅するとまた明け方まで20枚消費し、日が高くなる頃には買い足しに行く日々が続きました。 小説とは応募するもの、小説とは他人に読んでもらうもの、という考えがわたしにはありませんでした。 わたしの中には小さな世界がごまんとあり、その世界で生きている人たちはたえず呼吸をしていて、畑を耕し、水を飲み、作物を売ったり買ったりしていました。ときには殺し合って世界は消えてしまうこともありました。そうした流動する世界線がいくつも走り、絡み、まじり、繰り返す、衝動にも近い意識と妄想がするすると動くものですから、歴史をつむぐように彼らの証をのちのちまで残せないものかと考えたのがどうもわたしの執筆の原点のようです。つまり応募する、評

    文房具屋のおじいさん|青木杏樹
  • 三秋 縋 on Twitter: "https://t.co/2f7jxkXIHR"

  • 三秋 縋 on Twitter: "たとえば僕が酒の席で突然「シロツメクサの冠の作り方知ってる?」と尋ねたとします、そのとき、どうしてそんなこと訊くのかと首を傾げるでもなく、子供の頃に作ったなあと懐かしむでもなく、「舐めないでください今見せてあげます」と僕の手を引いて原っぱに直行して白詰草を摘み始めてほしいんですね"

  • 連載企画 Day to Day|〈6月9日〉 三秋縋|tree

    正しい町 そんなつもりはなかったのに、あなたは反対方向の電車に乗り込んでしまう。いくつかの駅で乗り換え、さらにバスに揺られること数時間、気がつくとあなたは〈正しい町〉にいる。バス停に降り立った瞬間、少年時代の夏の匂いを含んだそよ風が吹き過ぎ、あなたの古い思い出の埃(ほこり)を払っていく。降り注ぐ蝉の声の中に、何か重要なメッセージを聞き取る。初めて訪れるその町を、あなたは自身の故郷以上に懐かしく思う。 当てもなく歩き、交差点に差しかかる。そこであなたは一目惚れというものが実在することを身をもって知る。彼女は朝顔の柄の浴衣(ゆかた)を着ている。歩みに合わせて、赤い鼻緒の下駄が涼しげな音を立てる。左手の薬指に光るそれは、何もかもが遅すぎたことを密やかに、しかしきっぱりと告げている。 彼女の傍(かたわら)らには当然、指輪の贈り主である彼がいる。彼女を目にしたときと同等かそれ以上の衝撃を、彼はあなた

    連載企画 Day to Day|〈6月9日〉 三秋縋|tree
  • 旅が終わる気がする

    私の故郷はとても寒い場所にあって、そこで大人になるまで暮らしていました。 事情があって町を出てから初めて、あぁ、私はここから当に離れたかったのだなと気がつきました。 一人暮らしを始めた日は大雨警報が出ていて、ラジオからは空港で足止めになった人がインタビューを受ける声が聞こえました。 これから暮らす知らない街は嫌がらせのように道が入り組んでいて、番地の順番はひどく不規則でした。土砂降りの中、散々迷ってほうほうのていでアパートに辿り着いたとき、私は全身ずぶ濡れで、まるで服のままシャワーを浴びたかのようでした。 電気がまだ通っていなかったので部屋の中は真っ暗でした。ドアを開けると、安くて古い家特有の匂いがして、一歩進むごとに床がぎしぎし鳴りました。アパートの廊下の灯りに照らされて、自分だけの部屋に一人佇む私のシルエットが浮かぶのが見えました。 それを見た瞬間、お腹の底からわーっと力強いエネルギ

    旅が終わる気がする
  • 谷崎潤一郎 秘密

    その頃(ころ)私は或(あ)る気紛(きまぐ)れな考(かんがえ)から、今迄(いままで)自分の身のまわりを裹(つつ)んで居た賑(にぎ)やかな雰囲気(ふんいき)を遠ざかって、いろいろの関係で交際を続けて居た男や女の圏内から、ひそかに逃れ出ようと思い、方々と適当な隠れ家を捜し求めた揚句、浅草の松葉町辺に真言宗(しんごんしゅう)の寺のあるのを見附けて、ようよう其処(そこ)の庫裡(くり)の一と間を借り受けることになった。 新堀の溝(みぞ)へついて、菊屋橋から門跡(もんぜき)の裏手を真っ直(す)ぐに行ったところ、十二階の下の方の、うるさく入り組んだ Obscure な町の中にその寺はあった。ごみ溜(た)めの箱を覆(くつがえ)した如(ごと)く、あの辺一帯にひろがって居る貧民窟(ひんみんくつ)の片側に、黄橙色(だいだいいろ)の土塀(どべい)の壁が長く続いて、如何(いか)にも落ち着いた、重々しい寂しい感じを与え

  • 太宰治 走れメロス

    メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此(こ)のシラクスの市にやって来た。メロスには父も、母も無い。女房も無い。十六の、内気な妹と二人暮しだ。この妹は、村の或る律気な一牧人を、近々、花婿(はなむこ)として迎える事になっていた。結婚式も間近かなのである。メロスは、それゆえ、花嫁の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。メロスには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。今は此のシラクスの市で、石工をしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだか

  • “出版不況の中でも売れる本”を生み出す「ウェブ小説」の仕組みとは?

    “出版不況の中でも売れる”を生み出す「ウェブ小説」の仕組みとは?:セミナー「小説投稿サイトの現在」(1/3 ページ) 「出版不況」といわれるようになってから久しいが、景気のいい話だってある。2015年に発売された又吉直樹『火花』(文藝春秋)は、新人作家のデビュー作でありながらも芥川賞を受賞し、200万部を超える大ヒットに。この売上部数は歴代ベストセラーランキング30位以内に入る好成績だ。 ヒット作は又吉だけではない。今年映画化された川村元気『世界からが消えたなら』(マガジンハウス/小学館)は累計100万部を突破。また、住野よる『君の膵臓をたべたい』(双葉社)も、新人のデビュー作ながら累計55万部を超え、“又吉の次に売れた新人作家”となった。同書は16年になっても売れ続け、人気作家への道を歩き始めている。 この2作には、実は「Web発の小説である」という共通点がある。『世界からが消え

    “出版不況の中でも売れる本”を生み出す「ウェブ小説」の仕組みとは?
  • 一度も会ったことのない幼馴染がいる。三秋縋『君の話』冒頭試し読み|Hayakawa Books & Magazines(β)

    単行版の刊行から続々と重版を続け、10~20代の読者から、静かに熱狂的な支持を受ける話題作『君の話』。その冒頭部分を公開いたします。 俺たちはな、ただ名前ばかりがシャボン玉のように膨らんだ、夢幻の恋人に恋焦がれている。 さあ、受け取れ。この偽りを、真実に変えるのは君だ。 ――エドモン・ロスタン『シラノ・ド・ベルジュラック』(渡辺守章訳)01 グリーングリーン 一度も会ったことのない幼馴染がいる。僕は彼女の顔を見たことがない。声を聞いたことがない。体に触れたことがない。にもかかわらず、その顔立ちの愛らしさをよく知っている。その声音の柔らかさをよく知っている。その手のひらの温かさをよく知っている。 彼女は実在しない。より正確にいうと、彼女は僕の記憶の中にのみ存在する。まるで故人の話をしているようだが、そうではない。初めから実在していなかったのだ。 彼女は僕のためにつくられた女の子で、その名を

    一度も会ったことのない幼馴染がいる。三秋縋『君の話』冒頭試し読み|Hayakawa Books & Magazines(β)
  • 話題の新刊「君の話」三秋縋さんインタビュー 絶望を小説の糧に|好書好日

    三秋縋(みあき・すがる) 1990年、岩手生まれ。「げんふうけい」名義でウェブ上に小説を発表して人気を博し、2013年に『スターティング・オーヴァー』で作家デビュー。主な著作に『三日間の幸福』『いたいのいたいの、とんでゆけ』『恋する寄生虫』(いずれもメディアワークス文庫)など。 読者を自分と同じ病にかけたい ――発売から約1カ月半で6刷を突破(8月29日現在)、たくさんの読者に支持されていますね。 僕はある意味で、読者の方々を自分と同じ病にかけたいんです。『君の話』を通じて物の記憶と偽物の記憶、現実と虚構との境界があいまいになればいいな、と思ってます。自分にそういう症状があるので、みんなも同じように悩まされれば、と。そういう思いで書きました。 ――いつわりの記憶(義憶)の中にしかいないはずの幼馴染と遭遇する、という展開はまさに、現実と虚構が入り混じっていますね。義憶をつくる「義憶技工士」

    話題の新刊「君の話」三秋縋さんインタビュー 絶望を小説の糧に|好書好日
  • ベストセラー100万部突破!作者自身を注ぎ込んで100万部超 | 文春オンライン

    ななつきたかふみ/大阪府生まれ。電撃文庫『Astral』でデビュー。『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』は2015年度10~20代女性に最も読まれた文庫(日販調べ)。近著は『ケーキ王子の名推理(スペシャリテ)』等。 桜庭一樹さん、米澤穂信さん、有川浩さんなど、「ライトノベル」(主に若者をターゲットとしたイラスト付きの小説)出身の作家が広く一般文芸の世界で活躍するようになって久しい。七月隆文さんもそのひとり。ただ、桜庭さんたちがライトノベルの中では異色の作風で知られていたのに対し、七月さんはポップなコメディを主に手がけ、長年ジャンルの流に近いところを歩んできた。 『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』はそんな七月さんの初の一般文芸作品。100万部突破の大ベストセラーで、12月には福士蒼汰さん、小松菜奈さん主演の映画も公開される。京都の美大に通う〈ぼく〉と、秘密を抱えた美少女の束の間の逢

    ベストセラー100万部突破!作者自身を注ぎ込んで100万部超 | 文春オンライン
  • 岡本かの子 渾沌未分

  • 岡本かの子 金魚撩乱

    今日も復一はようやく変色し始めた仔魚(しぎょ)を一匹(ぴき)二匹(ひき)と皿(さら)に掬(すく)い上げ、熱心に拡大鏡で眺(なが)めていたが、今年もまた失敗か――今年もまた望み通りの金魚はついに出来そうもない。そう呟(つぶや)いて復一は皿と拡大鏡とを縁側(えんがわ)に抛(ほう)り出し、無表情のまま仰向(あおむ)けにどたりとねた。 縁から見るこの谷窪(たにくぼ)の新緑は今が盛(さか)りだった。木の葉ともいえない華(はな)やかさで、梢(こずえ)は新緑を基調とした紅茶系統からやや紫(むらさき)がかった若葉の五色の染め分けを振(ふ)り捌(さば)いている。それが風に揺(ゆ)らぐと、反射で滑(なめ)らかな崖(がけ)の赤土の表面が金屏風(きんびょうぶ)のように閃(ひらめ)く。五六丈(じょう)も高い崖の傾斜(けいしゃ)のところどころに霧島(きりしま)つつじが咲(さ)いている。 崖の根を固めている一帯の竹藪(

  • 村上春樹、井戸の底の世界を語る:The Underground Worlds of Haruki Murakami

  • 伊藤計劃:第弐位相

    http://www.books-sanseido.co.jp/blog/jinbocho/2009/01/116.html というのがあるらしいですよ。 http://www.tsogen.co.jp/np/oshirase.do こちらで見ると、円城さんも登場予定。 とりあえず、生存報告させていただきます。去年はたぶん、今まででもっとも際どいエリアに近づいた一年でした。 年末 ガンマ線ナイフで入院 元旦 謎の嘔吐と下痢で6日まで入院 と年末年始は入院で潰した伊藤です。皆さんの年末年始は如何お過ごしでしょうか。上記の事情により年賀状を一通も出すことが出来なかったので、これを読まれた方におかれましては、これを新年の挨拶代りにさせていただければ幸いです。現在は家でゆっくり静養中で、ぶっちゃけ暇をもてあましています。「虐殺〜」のあともそうだったのですが、「ハーモニー」を仕上げたあと何もする気が

    伊藤計劃:第弐位相
  • 村上春樹の直子を歩く(京都編)

    ●村上春樹の直子を歩く (阿美寮編) 初版2005年6月4日 二版2005年7月30日 三版2006年6月17日 <V01L01> anan追加 今週は久しぶりに村上春樹を歩きます。昔に戻って「ノルウェーの森」から「阿美寮」を探してみました。に書かれている”三条京阪バスのりば”からバスの道を辿って「阿美寮」探します。 <anan 1983年7・8特別号「男と京都へ」> 2006年6月17日追加 探していた雑誌がようやく見つかりました。この雑誌の中に村上春樹が京都について書いています。タイトルは、「いま京都へ行くんだったら、すぐ山奥に入りこんでしまうほうがいい。ゆっくり、おいしいものでもべながら。」、と書いており、京都については否定的に書いています。この後に「阿美寮」に関係することが書かれていました。「…女の子とデートするときは、京都へ出かけてました。銀閣寺から疎水の道を歩くのがデート

  • yanagi