今回筆者が編集部から依頼されたテーマは、「きたるべき秩序とはなにか」というものだ。その論考に入る前に、自己紹介もかねて、本稿を執筆するに至った背景や経緯について簡単に記しておきたい。 昨年から筆者は、さまざまな場所でウェブ上の新しい「秩序」に関する論考を発表する機会に恵まれてきたが★1、そこでキーワードにしてきたのが「生態系」や「生成力」といったある種の生命論的・生態学的なメタファーであった。インターネットの大衆的普及からはや10年以上が経過したが、そこでは種々さまざまなコミュニティやそれを支えるアーキテクチャ(人工構造物)が日々発生・成長・淘汰を繰り返しており、その全容を見渡すことは極めて難しくなっている。筆者はまずその現象に切り込むための解読格子として、「生態系」をはじめとする生命論的なメタファーを採用したのである。 ■ しかし、ただちに注釈しておかねばならないのは、こうした生命系のメ