トマス・アクィナス 肯定の哲学 作者: 山本芳久出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2014/09/17メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 2014年12月共同通信配信 トマス・アクィナスは、ヨーロッパ中世神学を大成させた哲学者だ。主著『神学大全』は、その圧倒的な分量と緻密な論理構成において、容易に人を近づけない荘厳さを帯びている。西洋哲学史にそびえ立つ最高峰のひとつなのだ。 本書は、トマスが人間の「感情」をどのように捉えていたかに着目し、その思索の一端を私たちの目の前に展開したものである。これまで近づきがたかったトマスの哲学を、至近距離から検討することが可能になった。 トマス哲学の基礎には、世界をその根底から肯定する「根源的肯定性」の思想がある。たとえば、「愛」と「憎しみ」は同じくらいの力をもって対立する感情であると考えるのが普通であろう。しかしながらト