2007年8月28日のブックマーク (4件)

  • 実験は限りなくギャグに近づく - 漫棚通信ブログ版

    こんなを見つけました。 ・マット・マドン『コミック文体練習 99 Ways to Tell a Story: Exercises in Style』(2006年国書刊行会、大久保譲訳、1900円+税) レーモン・クノー『文体練習』(1996年朝日出版社)は、あの『地下鉄のザジ』の作者が、ひとつのエピソードを99の文体で書きわけるという超絶的な実験をして有名になった。書くほうも書くほうですが、日語に訳した人もたいしたものです。けどすみません、わたし読んでません。 で、このはそれをマンガでやってみたもの。原著は2005年。アマゾンに飛びますと、中身がすこしだけ立ち読みできますのでどうぞ。 ひな形となるマンガはこういうもの。ノートパソコンで仕事をしていた男が、立ち上がってリビングへ行く。階上からガールフレンドの声がして「いま何時?」 男が答えて「1時15分だよ」 「ありがとう!」 男は冷

    実験は限りなくギャグに近づく - 漫棚通信ブログ版
  • 文章読本・虎の巻

    世に「文章読」はたくさんある。全部読んだら文章の達人になるのだろうか?あるいは、優れた小説や評論を書けるようになるのだろうか?斎藤美奈子のメッタ斬りを見てると期待できそうにないので、吉行淳之介の編んだ「文章読」を読む。 書には、文章読のエッセンスがギュッと濃縮されている。ずばり「文章とは何か」「文体とは」「優れた文章を書くコツは」との問いにそのまま答えているものばかり。文筆を生業とする書き手たちの「姿勢」がよく見える。このラインナップはスゴい。 文章の上達法(谷崎潤一郎) 谷崎潤一郎の文章(伊藤整) 僕の文章道(萩原朔太郎) 「が」「そして」「しかし」(井伏鱒二) 文章を書くコツ(宇野千代) 自分の文章(中野重治) わたしの文章作法(佐多稲子) センテンスの長短(川端康成) 質疑応答(三島由紀夫) 口語文の改革(中村真一郎) 文章を書くこと(野間宏) 削ることが文章をつくる(島尾敏

    文章読本・虎の巻
  • 人間を人間の格好にさせておくものとは?「ミノタウロス」

    この小説は、読み手に感情移入をさせないことに、成功している。全編モノローグで、カッコ 「 」 で括られた会話が出てこないのが異質だ。読み手を含む他人を寄せ付けない淡々とした語り口が恐ろしい。こいつに感情とやらがあるのか? アゴタ・クリストフ「悪童日記」を思い出す。 「ミノタウロス」(佐藤亜紀著)―― 舞台は二十世紀初頭のウクライナロシア革命による内戦が続く激動の時代。裕福な家庭に育ち、高い教育を受けた主人公が、家族と全財産を失う。以後、殺戮、略奪、強姦と人獣の日々が描かれる。もちろん、泣いたり怒ったりすることもあるが、それらは獣じみた情動に見える。 戦争により表現される人間のおぞましさや、生々しいドンパチ場面も見どころだが、主人公が次に何を言い出すか気になって仕方がないうちにページをどんどんめくらされる。歴史モノというよりも、ノワールものとして評価したい。 人間を人間の格好にさせておくも

    人間を人間の格好にさせておくものとは?「ミノタウロス」
  • 嘘つきとヤンデレの純愛「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」

    ヘヴィノベルだ、これっぽっちも light じゃない。が、面白さも重たい。するりと読めてガッチリと掴み取られる、まーちゃん(表紙)に。彼女のヤンデレは狂気の域に達しており、小学生兄妹を拉致って監禁している。 いっぽう、語りべのみーくんは嘘つき。口ぐせは「嘘だけど」。地の文に紛れ込むモノローグでも嘘をつく。こっちはそこを織り込んで読むのだが、ラストの「幸せの背景は不幸」のくだりでやられた!おもわず天を仰ぐ。「幸せの背景は不幸」―― これがサブタイトルに入っているのを読了後に知って、もう一度空を見る。 さらに、 一行目を読んだ瞬間、物語の二重底に気づく。ミエミエ、と思ってたら実は三重底。まーちゃんのヤンデレと、みーくんの口ぐせ「嘘だけど」が効いている。この仕掛け、上手に騙されましたな。ラノベだと舐めてかかって一背負いを喰らった。でも気持ちいい。 「まーちゃん」 マユの髪を指で梳きながら、諦め

    嘘つきとヤンデレの純愛「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」