西方にクラークあり、北方にレムあれば、東の果てに小松左京ありてふ。世界各国語に翻訳されて不倒の評価を獲得した、これを読まずして何をかいわん的な小松左京の代表作です。読了したのはしばらく前で、さっき感想を書くために再度ぱらぱらしてみたんですが、初読み時の消耗を思い出して床に伸びてしまいそうになりました。 おそらく世界中を見わたしても、ここまで見事に「理詰めで人類を絶滅」させてのけた小説はいまだ数えるほどしかないのではないでしょうか。あらゆる分野にわたる膨大な教養に裏打ちされたシミュレーションは、まるで詰め将棋のような冷徹さで読み手を追いつめ、いかなる口ごたえも許しません。死にます。完膚なきまでに。ぐうの音も出ないとはまさにこのことです。 現在のテクノロジーでもたぶん、実際にちょっとの工夫とちょっとの手ちがいがいくつか重なりさえすれば、今からはじめて来年か二、三年後ぐらいにでも人類なんていとも