最初は、王道のボーイミーツガールかと思った。ヒーローに憧れる少年と、いじめられっ子の少女。テンポの良い会話は読んでいて楽しく、気づけば時間を忘れて読みふけっていた。 ところが中盤から、「これはおかしい……というか、どっかで読んだような……?」と既視感を覚えた。急展開を見せる物語展開と、撃ち落とすべき「UFO」の比喩から思い出されたのは、無力な2人の少女が「砂糖菓子」でもって抗う物語。大好きな作品だ。 甘くも残酷、やるせない結末に落ち着いたそれとは異なり、本作はハッピーエンドで終わるかと思われた。……が、その期待は辛くも終盤でひっくり返され、地の文による怒涛の展開が繰り広げられる。撃ち落とされたUFOと、2人の死んだ人間。最後には、訳のわからなさだけが残った。 砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex) 竹宮 ゆゆこ 新潮社 2016-05-28 Amazon Kindle 楽天ブック