ポピュリズムと民主主義―オランダが問いかける 21世紀の民主主義は自らの「影」と上手に付き合う術を身につけなければならない 森本あんり 国際基督教大学学務副学長 「ポスト真実」の本質に迫る(森本あんり、WEBRONZA) オランダ下院総選挙の結果が出た。「自国第一主義」を掲げて「オランダのトランプ」と呼ばれたウィルダース党首が率いる自由党は、伸長したものの第1党にはならなかった。はたしてこれは、トランプ政権の迷走ぶりを見て有権者の間に躊躇(ちゅうちょ)が広がった結果なのだろうか。 ヨーロッパの政治日程では、今後もフランスやドイツの総選挙が続くが、これがポピュリズム劇場の最終幕だ、と思う人は少ないだろう。本来なら中道で寛容なはずの与党が「反移民」などの強硬路線を掲げ、ポピュリズムにむしろ寄り添うような姿勢も見せている。ポピュリズムが現代民主主義の舞台から消えてなくなる、ということはなさそうで