戻る 和紙の歴史(とても詳しい) この論文は、佐野晃夫氏の手によってまとめられた個人的な研究文です。多くの先輩和紙研究家の孫引きが引用されております。(引用文献を細かく明記しておりませんが何卒ご容赦下さい。)様々な歴史情報が網羅された労作です。和紙の歴史に興味のございます方は是非ご一読下さい。 「襖と障子の伝統文化」 ■第一章 ふすまと和紙の伝統文化 (1)紙の発明とその伝播 (一)紙以前の紙 筆と墨 記録のため文字が発明され、次いで文字を記すための筆記具が作られた。紙よりもはるかに早く筆と墨が発明されて いる。 通説では、筆は古代中国の秦の始皇帝の時代(BC221年に中国統一)に、蒙恬が発明したとされている。 しかし、近年の研究により、今からおよそ三千五百年も前の殷の時代(BC1600年 頃成立)に、すでに筆や墨が使用されていたと言われている。遺跡から出た甲骨文にも筆を表す象形文字が