シャープの取締役会は2月25日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループの傘下に入って再建を目指すことを決議した。2012年から4年越しでラブコールを送り続けたホンハイをようやくシャープが受け入れた。官製ファンド、産業革新機構との競り合いは土壇場までもつれたが、ホンハイは総額7000億円という途方もないカネを積み、革新機構を振り切った。ホンハイはなぜ、そこまでシャープを欲しがるのか。背景には郭台銘(テリー・ゴウ)董事長の壮大な野望がある。ただし、ホンハイは、「シャープから重大情報が送付されたので正式契約を延期する」と同日発表した。電機業界を揺るがす合併交渉は、まだまだ波乱含みだ。 「熱烈な片思い」──。テリー・ゴウ氏の側近は今回のシャープに対するゴウ氏の思いをこう表現する。最初にホンハイがシャープへの出資を検討した2012年には、1株550円という値段をつけた。「単独で筆頭株主にはならないで