ICT(情報通信技術)を利用したスマート農業が広がっている。といっても農家の間ではまだ評価が分かれているようだ。 民俗学者で自らも農業を営む野口憲一著『1本5000円のレンコンがバカ売れする理由』(新潮新書・2019年)はスマート農業を「うーん。やめといた方が良いんじゃないですかね?」という。今までのやり方と比べてコストパフォーマンスが良くないと考えているようで、「全然スマートじゃない」と断じる。 他方、ビジネスコンサルタントから農業者に転じた有坪民雄著『誰も農業を知らない』(原書房・18年)は、「(あらゆるモノがネットにつながる)IoTは革命になりうる」と前向きの評価だ。機械の自動運転化や大量のデータを用いた精密農業に可能性を見て取る。2人とも学者やコンサルタントを経験して就農しており、説得力がある。農村には、スマート農業に前向きな考えと距離を置く見解が混在しているのだろう。 進む技術革
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