「なぜ父親が日本人なのに子どもは日本国籍を持てないのか」 日本人との間に生まれた子どもを持つ外国人女性の疑問から始まった裁判は、国内で8例目となる法令違憲判決と、国籍法3条1項などの改正につながる。 2008年の最高裁で勝訴した近藤博徳弁護士は、判決から10年以上を経た現在も、国籍法の別の条文が憲法14条違反だとして、新たな違憲訴訟を続けている。 国籍法の違憲問題を通じ、見落とされた人権侵害と戦い続ける弁護士の半生を聞く、ロングインタビュー。 TOKYO大樹法律事務所 近藤博徳弁護士インタビュー 取材・文/矢野大輔 (弁護士ドットコムタイムズVol.57<2020年12月発行>より) 国籍法の憲法違反を巡る戦いはバブル期の強制送還事件から始まる 「母親たちは日本での生活が中心になっていて、フィリピンに帰っても生活できないし、日本で生まれ育った子どもたちは、そもそもフィリピンの言葉を喋ること