その美術家の名前「格」は、ものの「本質」を意味する言葉だ。高嶺格はしかし、高みから何かを説くよりも、生身の個人の目線から、人々が忘れがちな、または忘れたフリをしがちな問いをあぶり出す。2トンの粘土でつくったブサイクなジョージ・ブッシュに「God Bless America」を歌わせたり、在日韓国人の恋人から受けた問いへの葛藤を作品化したり。はたまた、英語が共通語の国際展であえて故郷の鹿児島弁(とエスペラント語!)を使った作品を発表したり。今回、横浜美術館で1月21日から3月20日まで開催される首都圏初の大規模な個展『高嶺格:とおくてよくみえない』は、美術館という存在そのものにも問いを投げかける展覧会になりそうだという。 (インタビュー・テキスト:内田伸一 撮影:小林宏彰) アートを観に行く美術館なのに「よくみえない」っていう ―今回の横浜美術館での個展は、「とおくてよくみえない」という謎め