衆議院解散の際に解散詔書の朗読がどのように行われてきたかについて明治期から現代に至るまでの経過を説明する。解散詔書の朗読の慣行は大正期に確立し、戦後も似たような形式で朗読が行われている。ただし、戦後の10年間と、2014年の解散においては、慣行から外れた形式での朗読が見られる。 はじめに 日本では、衆議院が解散される際に、衆議院本会議で衆議院議長が解散詔書(しょうしょ)を朗読し、その後議員が万歳をするのが慣例となっている。しかし、この慣例は昔からあったわけではない。また、慣例と違う取り扱いをした場合もあった。今日は、帝国議会会議録・国会会議録の記録などをもとに、衆議院解散の際に本会議で詔書がどう朗読されてきたかについて見ていきたいと思う。 なお、解散の詔書は、戦前・戦後を問わず、以下の要素で構成されている。 本文:憲法に基づき衆議院を解散する旨を記す。 御名(ぎょめい)御璽(ぎょじ):天皇