2014年03月23日11:13 カテゴリ本 「衰退国の先輩」イギリスに学ぶ 菅官房長官によると、安倍政権は「成長戦略に全力を上げる」そうだが、いまだに政府が成長を実現しようという時代錯誤は困ったものだ。もちろんゼロ成長では今後の高齢化に耐えられないので、今ぐらいの成長は維持したほうがいいが、成長がすべてを解決するという幻想は捨てたほうがいい。 イギリスで「産業革命」が起こったとか「産業資本主義」で成長したとかいう常識は、最近の経済史では葬られている。大英帝国のエンジンは産業革命でも綿工業でもなく、北米のプランテーションと奴隷貿易だった。本国の何十倍もの面積をもつアメリカ大陸を経済圏に入れ、そこから砂糖やタバコなどの一次産品を輸入してアフリカに売り、北米に奴隷を輸出する三角貿易が最大のビジネスだった。 この商業革命で上げた巨額の利潤が資本主義を生んだ。産業革命が大英帝国を生んだのではなく、