「しゃぶしゃぶ温野菜」の学生アルバイトへの暴力事件についてはこれまでも紹介してきた。 昨年、千葉県内の「しゃぶしゃぶ温野菜」の店舗でアルバイト勤務をしていた大学生が店長らから4カ月連続勤務や20万円以上の自腹購入を強要されたうえ、包丁で刺される・首を絞められるなどの暴力に遭ったことが問題となったものだ。今年6月には学生が千葉地裁に同店舗を経営する会社を提訴している(本件の経緯や被害の詳細については、拙稿「しゃぶしゃぶ温野菜」で大学生刺傷事件 なぜブラックバイトは暴力的になるのか」や拙書『ブラックバイト 学生が危ない』(岩波新書)を参照してほしい)。 実はこの件に限らず、学生からの労働相談の現場では、公然と暴力がまかり通っている事例は後を絶たない。そこで今回は、ブラックバイトでの「暴力」を法的問題にする難しさと、今回の事件ではなぜそれに成功したのかについて説明したい。 ブラックバイトで刑法違