公的年金の目減りや雇用状況の悪化で生活不安が募る――そんな時代に新たに問題視され始めた「老後破産」。この言葉から、あなたは何を思い浮かべるだろうか。 今年6月に東海道新幹線内で、男が焼身自殺し、巻き添えとなった女性の乗客1人が死亡する事件が起きた。焼身自殺した71歳の容疑者は事件前、「仕事を辞め、年金が月12万円。生きていけない」と話していたという。凄惨な事件の背景に、生活苦に陥った高齢者の実態が浮かび上がったことは記憶に新しい。 ただ、「老後破産」の定義はあいまいだ。「年金だけでギリギリの生活を続けている状況」(「老後破産 長寿という悪夢」NHKスペシャル取材班著)という位置付けもあれば、「高齢者の貧困=下流化」としたうえで、推定600万~700万人の「下流老人」を「生活保護基準相当で暮らす高齢者及びその恐れがある高齢者(「下流老人 一億総老後崩壊の衝撃」藤田孝典著)とする定義もある。そ