この会社の経営陣はもはや死に体。マネジメントもできない会社の末路は破綻が筋だが、事をそう簡単に運べない「大人の事情」もあった。判断に苦慮していた巨大銀行が、ついに決断を下す――。 國部頭取が語った「不信感」 「メインバンクとして大変残念に思っている」 3月16日、東京・大手町の朝日生命大手町ビル。 この日、全国銀行協会会長としての任期を終える最後の会見に臨んでいた三井住友銀行の國部毅頭取は、記者から「東芝問題」について問われると、率直な胸の内を明かし始めた。 「東芝という個別取引先に関することなので、コメントは差し控えるべきだと思うが、少しコメントをさせていただく」 全銀協会長の会見で、個別企業の案件について言及するのは異例のこと。それでも國部頭取はみずからこう切り出すと、続けて、辛辣な言葉を投げかけていった。 「各ステークホルダーの不信感を払拭できない状況が長期化している」 中でも、國部