2014/12/24 ゲノム科学の進展に伴い、これまでのようにウイルスを分離することなく、遺伝子配列を検出することでウイルスを見つける新しい技術メタゲノミクスが広く用いられるようになってきた。その結果として、ヒトの身体の中のウイルスゲノムの世界(virome)が明らかになってきている。そのひとつとして、健康な人の腸管で多くのウイルスが存在することが明らかになってきた。ほとんどは、腸内細菌に感染したバクテリオファージ(細菌ウイルス)であるが、ヒトのウイルスも見つかってきている。 細菌には善玉と悪玉があり、腸内細菌の多くは善玉と考えられている。ウイルスでは悪玉の顔しか知られていない。私は著書「ウイルスと地球生命」(岩波科学ライブラリー、2012)で、人の染色体に組み込まれたヒト内在性レトロウイルスのenv遺伝子が胎盤の栄養膜を形成することにより、胎児の発育を守っていることや、霊長類の進化にウイ
ポイント 微生物は金属微粒子を「電線」にして電子を流し、お互いに助け合っている 導電性酸化鉄の添加で共生的代謝(酸化還元)が10倍以上促進することを発見 微生物燃料電池やバイオガスプロセスの高効率化に期待 JST 課題達成型基礎研究の一環として、JST 戦略的創造研究推進事業 ERATO型研究「橋本光エネルギー変換システムプロジェクト」(研究総括:橋本 和仁)の加藤 創一郎 研究員(現 産業技術総合研究所 研究員)と渡邉 一哉 グループリーダー(現 東京薬科大学 教授)は、微生物が導電性金属粒子を通して細胞間に電気を流し、共生的エネルギー代謝を行うことを発見しました。 本プロジェクトでは、クリーンエネルギー分野において期待される微生物燃料電池注1)の研究開発を行ってきました。微生物燃料電池はバイオマスから電気エネルギーを生産するプロセスとして、また省エネ型廃水処理プロセスとして有望であり、
英科学誌ネイチャー(Nature)提供による、アマノリ属の海草に含まれる多糖類を分解する酵素を持つ海洋性バクテリア、ゾベリア・ガラクタニボラン(Zobellia galactanivorans、2010年4月6日提供)。(c)AFP/NATURE/Tristan Barbeyron 【4月8日 AFP】日本人の腸が海草に含まれる多糖類を分解できるのは、分解酵素を作る遺伝子を腸内に住む細菌が海洋性の微生物から取り込んでいるためだとする論文が、8日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。 フランスの海洋生物学と海洋学の研究・教育機関「ロスコフ生物学研究所(Station Biologique de Roscoff)」の研究チームは、ゾベリア・ガラクタニボラン(Zobellia galactanivorans)という海洋性バクテリアが、アマノリ属の海草に含まれる多糖類を分解する酵素を持
一説によると、すべての生物種の5分の4は寄生者であるらしい*1。たとえばヒトとかネコとかゾウとか目につく大きな動物1種に対して、寄生する種は数多くいるだろう。複数の種に寄生する寄生種もいるだろうから、その辺をならして大雑把に宿主1種あたり寄生種4種ぐらいということか。ま、数え方次第である。ヒトとサナダムシだと寄生関係にあると明確だが、何をもって寄生というのか、ウイルスを生物種とみなすかどうか、など、判定が微妙な場合もある。 その辺を踏まえた上で、あえて「寄生される種でもっとも最小の生物は何か?」と問おう。生物学に詳しい人ならば、バクテリオファージに寄生される大腸菌を挙げるだろう。なかなかいい線だ。しかし、もっと小さい生物もいる。B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus, HBV)を私は推したい。B型肝炎ウイルスに寄生する生物とは、D型肝炎ウイルス(hepatitis delta
とある昆虫研究者のメモと日記。主に面白いと思った論文の紹介をしています。リンクフリー。コメント大歓迎。Polydnaviruses of Braconid Wasps Derive from an Ancestral Nudivirus Science 13 February 2009: Vol. 323. no. 5916, pp. 926 - 930 DOI: 10.1126/science.1166788 寄生蜂の多くの種は宿主の発育を制御するために卵と一緒にポリドナウィルスと呼ばれるウィルスを注入する。しかし、このウイルスは宿主体内では増殖せず、卵巣の特定の部位でのみ増殖が起こる。また、エンベロープに包まれたDNAはウィルスの構造タンパク質をコードしておらず、コードされているのは宿主の免疫系を改変するタンパク質などである。ウィルス粒子が存在しているのに構造タンパク質が無いというの
ミトコンドリアを縛る糸を紡ぐのは?(2017.12.21) ミトコンドリアは分裂によって増殖し,分裂時には分裂面を括る分裂リングが形成されますが, その正体は長らく明らかにされていませんでした。 Yoshida et al. (2017) はミトコンドリアの分裂時に発現する糖転移酵素に着目し, これが分裂リングを構成する多糖繊維を合成していることを明らかにしました。 ミトコンドリアの分裂装置は,ミトコンドリア内膜の内側にある FtsZ リング,外膜の外側にある MD(ミトコンドリア分裂)リング (最も顕著なリング構造),そしてその外側にあるダイナミンリングから構成されています。 FtsZ リングとダイナミンリングはそれぞれ FtsZ1 タンパク質と Dnm1 タンパク質を主成分としていますが, MD リングの主成分は特定されていませんでした。 そこで著者らは,ミトコンドリア分裂の同調や原形
繊毛虫の中の新属共生藻。と,その学名(2018.01.18) 繊毛虫の中には細胞内に藻類を共生させるものが色々と知られています。 共生藻も色々な種類がいるようですが,形態が単純で区別が難しいためか記載が遅れがちでした。 Hoshina et al. (2018) は繊毛虫の複数種に共通する未記載の共生藻類を, 新属新種 Brandtia ciliaticola として正式に命名しました。しかしこの属名は非合法名だったため, Hoshina & Nakada (2018) で新名が提唱されました。(2 本目の論文には筆者も共同執筆者として参加しています) 藻類と繊毛虫の共生は,複数の組合せで一時的な共生から世代を超えた共生まで様々な関係性が知られています。 Hoshina & Kusuoka (2016) は琵琶湖産の複数種の繊毛虫に共通して共生するクロレラ科の藻類 "Chlorb" を報告
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