7日発売の文芸誌『新潮 2月号』では、作家・筒井康隆氏(86)の最新掌篇(しょうへん)小説『川のほとり』を掲載。昨年、最愛の息子を亡くした筒井氏の体験が濃厚に反映された作品となっている。 【写真】その他の写真を見る 映像化された『時をかける少女』『私のグランパ』『パプリカ』などでも知られ、幅広い読者を持つ筒井氏のひとり息子にして気鋭画家だった筒井伸輔さんが昨年、わずか51歳の若さで亡くなった。物語は夢のなかの川のほとり。そこで主人公の小説家は亡くなって間もない「伸輔」と再会する。主人公は、この再会が自分の夢にすぎないことを知っているが、それでも、息子と語り続けずにはいられない。 「父さん」 「おう」 「母さんは元気」 「元気だよ」 そのとき、息子が発した思わぬ一言とは。原稿用紙にしてわずか10枚の掌篇だが、筒井氏が生涯で一度しか書けない感動の物語が誕生した。筒井氏は「(新潮社の)中瀬ゆかり