ガソリンの価格が下がってしまったので、危機感もどこかへ吹き飛んでしまった。 石油供給危機の話は、様々な情報が錯綜していて、何を信じたら良いのか、皆目分からない人が多いような感触である。 経済界は、「需要があれば代替燃料などいくらでもあるのだから、エネルギー危機などは存在しない」、という古い理論で防衛をしている。 一方、自然科学系の人間にとっては、「地球に限界があることなど、あたり前」。早晩、経済原則がなんだろうが、「すべての枯渇性資源は枯渇する」。そのため、「どのぐらい準備ができているか、これが勝負を分ける」、と考えている。 この本の著者は、もと石油業界に籍を置いた人間で、その経験と膨大なデータを基に、もう少々詳細にものごとを考えているようだ。やはり持っている情報が違うという要素が大きいのかもしれない。 ただし、相当に分厚い本なだけに、直接的には余り関係しない歴史的な考察も多い。逆にそこが