この春、仕事がうまくいかなくてもう八方塞がりでどうしようもなくなって、人生の中で最も、あるいはそれに近いほど苦しい時期を過ごしていた。 自分がとった行動は、辛い現実から逃れるために寝食を忘れてひたすら受動的に映像コンテンツを貪り観ることだった。映画だったり、ドラマだったりをただひたすら観ていた。睡眠不足になり、食事も不規則になり、視力も低下して、体にはよくなかったと思う。 ステイホームにかこつけて家で寝転びながらただひたすらに誰かの人生をなぞるのは現実逃避としてちょうどよかった。そこまでは計算どおりだったけど、予想外だったのは、現実逃避のために睡眠や食事をおろそかにすることで自分の体が蝕まれている状態に、不思議な感覚を抱くようになっていたことだった。 つらいことから逃れるために死ぬ勇気なんて微塵もないけど、自分のことは痛めつけたかった。 自傷行為をする人の気持ちが少しだけわかった気がした。