ある分析哲学の本の訳者解説を眺めていたらおかしな言葉の使い方を見かけた。論理記号付きの引用は面倒なので、普通の言葉に直してみます。 xが藍トロープを持っているならば、そのxすべては青トロープを持つ これを認めてしまったら、トロープ概念を普遍問題に持ち込む意義が失われてしまう。トロープとは(主に私たちに感じられるような)物の具体的な特性である。赤っぽい色合いとかふわっとした風合いがそうである。これだとクオリアと似ている感じもするがもちろん違う。トロープは存在論的な用語なので、むしろトロープがクオリアの源と考えた方がいいくらいだ(ただし実際にはそういう議論はあまり見ない)。だから誰にも感じられていないトロープも存在する。ここで重要なのはトロープは普遍概念的に分類される以前の物の具体的な特性であることである。だから、色トロープや形トロープなどはまだありえても、藍トロープだの青トロープだのはありえ
河野與一『哲学講話』から。 カント的には、「1階に感性Sinnlichkeitがあって、2階に悟性Verstandがあって、3階に理性Vernunftがある」というイメージ。感性と悟性の枠内で理性を働かせていれば問題はないのですが、感性と悟性を離れて理性が暴走すると、認識に失敗します。だから理性が形而上学を扱うのは無理。 トマス・アクィナス的には、「1階に感性sensusがあって、2階に悟性intellectus/intelligentiaがあって、その間をつなぐのが理性ratio」というイメージ。天使の悟性intelligentiaは純粋なので、一瞬にして物事を理解します。一方、人間の悟性intellectusは不純なので、物事を理解するのに時間が掛かります。この時間を掛けて推論(reason)していく際に悟性の補助的に働くのが、理性ratioなのだとか。 ドイツ語のVerstehenか
以前やっていた授業の内容目次(暫定的)と資料です。ここから入る資料は皆、私が今までにどこかで書いたものに基づいています。 内容目次 中世哲学の源流 初期キリスト教の思想形成: イエス以後 / パウロ思想 / ヨハネ思想 / ギリシア哲学との出会い / ユスティノス / テオフィロス etc. / トピック:無からの創造説の成立 --- cf. テルトゥリアヌス 三一論の形成: ラテン語による思索の始まり: アウグスティヌス / ボエティウス 古代末期から中世へ 中世哲学の成長 カロリンガ・ルネサンスとアルクイヌス エリウゲナ Dialectica と Theologia アンセルムス 普遍を巡る問題の登場と文法学 アベラルドゥス / アベラルドゥスの唯名論 中世哲学の展開 12世紀後半-13世紀: 大学の成立 / アラビアからの新資料 / 中世論理学の発展-> suppositio論の発
次は、「トマス・アクイナスの善の哲学」です。ラテン語と日本語の、論文になるでしょう。 これから、自分自身との、斗いです。眠っていても、その内容が、うかぶのですよ。そうして、できた論文が、「トマス・アクイナスの知の哲学」だったのですよ。それ以上の、内容に、なるとおもいます。わたくしの、本を買ってくださったかたがた。二冊めは、もっとすごいです。そうならなければならないとおもうような構想なのです。期待していてください。ただし、わたくしも、歳ですので、体力的に、書けない場合も、あります。でも、ライフ・ワークとして、どんなに短編になろうとも善と、幸福論について書かなければ.という、使命感があります。・・・二冊目。・・・人間は、なんのために、生きているのだろうか.という、高校生のときに、私自身が、悩んでいたことに、答える内容です。・・・人生はすばらしい。人間は他人のために、努力しよう。友愛こそが、すべ
長倉久子『トマス・アクィナスのエッセ研究』(知泉書館、2009)を読み始める。まだ半分ほど。著者の長倉氏は2008年1月に逝去されていて、これは古いものから近年のものまで、トマスに関する論文を編纂した一冊のようだけれど、まさに著者が後の世代に贈った遺書という感じでもある。いやいや単なる遺書という生やさしいものではないかも。これはむしろ挑戦状か。収録論文でおそらく最重要のものは、4章目の「<だ>そのものなる神」。一見するとちょっと変なタイトルに見えてしまうけれど、なんとこれ、西田哲学とトマス思想との対比を試みたもの。著者はトマスにとっての神、あるいは本源としてのesseが、西田幾多郎のいう「絶対無」と同じく、現実を支えながらそれ事態はある絶対的な断絶の向こう側にあるものを、なんとか言葉で捉えようとする思想的な試みであるとし、あえて西田哲学はそこに「無」「場所」のような概念を持ち込んでいるせい
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