開発段階のみならず、「使用」工程でもユーザー革新が可能であることを、業績好調企業の事例を用いて紐解く。 神戸大学大学院経営学研究科教授 小川 進=文 平良 徹=図版作成 これまで筆者は、本連載にて「製品開発」段階でのユーザー・イノベーション論を展開してきた。しかし開発段階のみならず、「使用」工程でもユーザー革新が可能であることを、業績好調企業の事例を用いて紐解く。 東京マラソンでのiPhoneの意外な使われ方 社会人で博士課程の学生をしている堀口悟史さんが興味深い話を見つけてきてくれた。消費者がiPhoneのアプリケーション・ソフトウエアを当初意図されていたものとは違う用途で使っている場合があるというのだ。今年2月に開催された東京マラソンでは約3万6000人の市民ランナーが、200万人を超える人たちの熱い声援を受けながら快走した。その声援を送っている人々の中に、Find iPhoneとい