「自爆営業」をご存じだろうか? 日本郵便で生まれた言葉で、ノルマ達成のために日本郵便の社員が、年賀状などを金券ショップに持ち込み、安く売った分の差額に自腹を切る行為をいう。驚くのは、一部のブラック郵便局のブラック上司の下で働く社員が……ではなく、約25万人もいる日本郵便の社員の多くが、年賀状販売開始の11月1日からいっせいに自爆するという事実だ。私は実態を取材し続け、この5月に『自爆営業』(ポプラ社刊・780円税別)を上梓した。その一部をここに紹介したい。 私は、数年前の11月1日、その一人Aさんの自爆営業に同行した。ノルマは7000枚。だが、一度に全部を金券ショップに売れば、自爆営業を表向きは禁止している会社にばれてしまうので、小出しで売る。彼はその日「親戚に売ってくる」とウソをついて、1000枚の年賀状を局から預かり、一枚43円でショップに売った。4万3000円を手にしたが、局には5万