公開された情報そのものの真偽がわからなくなり、「ポスト真実」に政治が翻弄される現代。近代政治の起源において隠されたものとは何か? 公開性とは何か? 近代国家、近代政治の起源にまで遡り、今日における政治危機の本質を解明する。 『本書の出発点となっているのは、例外状態が今日の政治のパラダイムになりつつあるという認識である。(中略)今日の政治は、執行が規範を踏み越える例外状態の常態化という観点から考察できるのではないか。そのような例外状態においては、「法の規範的側面は統治の暴力によってもののみごとに忘却され論駁されて」しまうのである。(中略)近代においては法や主権のような規範的審級によって政治の公開性が担保されてきたとするなら、例外状態はつねにその影として取り憑いてきた。その意味において、規範性を逃れるこの統治の位相は、近代的な公開性の政治にとって単に時間的な起源にあるのではなく、その「根源」に