2023年2月に亡くなった早稲田大学名誉教授、新川登亀男氏は、古代の天皇制に関する本を出す予定で準備していたものの、体調の悪さなどもあって実現しないまま終わった由。 ただ、出版社である吉川弘文館に渡していた原稿がかなりあったため、大学の同僚である川尻秋生氏を中心として友人や教え子たちが協力し、未定稿や書きかけのものについて形式面の統一や典故の確認その他、最低限の加筆・訂正をおこなった結果、刊行されたのが、 新川登亀男『創られた「天皇」号―君主称号の古代史』 (吉川弘文館、2024年6月) です。この本のうち、冒頭の「Ⅰ 二度創られた「天皇」号」については、このブログでも以前、紹介したことがあります(こちら)。今回、いくつかの論考を紹介しますが、最初は、「Ⅳ 「ミコト」と「尊」「命」字称の成り立ち」です。 「刊行にあたって」で秋尻氏も述べているように、「文章のつながりの悪いところや、不完全な