COVID-19は当初、日本のメディアでは「新型肺炎」と呼ばれていた。やがて、重症化の症状の様態についての理解が専門家の間でシェアされ、それが一般にも伝わるようになった。重症化したCOVID-19は、呼吸器系に限った疾患ではなく、全身性の臓器不全を引き起こす。その中心となる病態は「血栓症」である。 次回の週刊ダイヤモンド連載「大人のための最先端理科 生命科学」でも触れるが、肺へのウイルス(SARS-CoV-2)感染により細胞に炎症が起きると、「サイトカイン」という物質が細胞から分泌され、感染の量が多くなると、「サイトカインストーム」という暴走状態となって、全身で血液の凝固異常が起き、血栓が形成される。あるいは、肺炎自体は重症でなくても、血管が弱い既往歴があれば、肺炎自体はそんなに重症ではなくても、ウイルスが血管の細胞に侵入して血管壁を傷つけることにより血栓が形成され、心筋梗塞や脳梗塞に至る
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