ブックマーク / www.shenmacro.com (13)

  • 春のマイナス金利政策撤廃が現実的に : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    12月の政策決定会合で壮大な空振りを演出した日銀の金融政策のその後について。植田日銀がマイナス金利政策の早期撤廃期待をにべもなく否定した後、年末にかけて米金利が更に大きく低下するなど外部環境も怪しくなり、年が明けるとすぐ能登半島地震が続き、1月会合の展望レポートで2024年物価見通しを引下げる観測まで出て来ており、いよいよマイナス金利政策撤廃も覚束なくなった。しかし1月会合は12月会合とまたまたガラッと雰囲気が変わった。 12月のチャレンジング・ショックでチャレンジングがどうマイナス金利撤廃を意味するのか全く付いていけなかったのと同様、1月会合が具体的にどのようにタカ的だったかも個人的にはよく分かっていない。1月会合の展望レポートが 「消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップがプラスに転じ、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まるもとで、見通し期間終盤にかけて物価安定の目標

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    zu2 2024/02/24
  • 2月分で判明する新NISAキャピタルフライトの実像 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    新NISAのインパクトの定点観測。新NISAが始まって1ヶ月余りで既に1兆8千億円以上の資金が流入した。日経の取材記事では投資信託と個別株に分けて紹介しており、海外資産と日株という切り口では切っていない。1兆8千億円のうち約1兆円が投資信託、残りの約8,000億円を個別株になっている。個別株は証券会社の窓口チャネルが強いということもあり高配当株を中心に日株が健闘しており、トップ10銘柄はシェアは低いものの全て日株が占めている。そういう意味では、1兆8千億円のうち過半数は海外資産に向かったと確信できるものの、日株も案外健闘していると言えるだろう。もっとも新NISAでは個別株は成長投資枠でしか投資できない。積立て投資枠のフローは海外株が8割以上を占めると思われる。投資信託1兆円のうちトップ10投信が全て海外株投信であり、それだけで8,000億円を占めるからである。ブログが唱えてきた年

    2月分で判明する新NISAキャピタルフライトの実像 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
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    zu2 2024/02/24
    “2024年以降の海外株式へのNISAフローは2023年の2倍弱というところか。このフローがコツコツと続く限り、日本と他の先進国の金融サイクルのズレが多少修正されたところで、大幅な円高転換は見込みづらいだろう”
  • 海溝の底に沈んだ米国の実質金利 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    米国の10年実質金利(青)が2012年以来の深いマイナス幅になっている。これは10年ものの物価連動国債(TIPS, Treasury Inflation-Protected Security)が取引されている利回りであり、10年名目金利(普通の10年国債利回り)との差が大雑把に10年期待インフレ率(BEI, Break Even Inflation rate)と言われる。TIPSはインフレ率(CPI-U :Consumer Price Index for All Urban Consumers)を見て元が調整されるため、将来実現されたインフレ率がBEI通りであったなら名目債で運用しても物価連動債で運用してもリターンは変わらない(ブレークイーブン)。 インフレ期待の推移は国債とTIPSの参加者が決定する形となる。TIPSは相場が荒れるほど流動性が低下するし、挙げ句の果てにFedも買っていた

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    zu2 2020/08/29
  • リオープンのドル安とロックダウンのドル高 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    久しぶりに為替について。冒頭の絵は記事の中身と関係ない。コロナショック後の米ドル相場の特徴として経済指標や金利差を見なくなった、そしてドル円がいよいよランダムウォークになってきたことが挙げられる。特に米ドルを米国景気や米金利と結びつけて考えていたなら最初から最後まで上手くいかなかっただろう。 早速、米株と米ドル相場の相関を見ていこう。2017年年初や2019年年末は米株高、米金利高、ドル高の組合せが見られたが、それ以外の期間では基的に株高と緩やかな米ドル安が並存してきた。特にコロナショック以降は米ドルと米株の逆相関が顕著に強まっている。 チャートを並べるとより一層この傾向は鮮明である。3月の米株のクラッシュでは米ドルのファンディング危機が起こり、Fedが利下げを打ち込んでも米ドル高が続いた。Fedが更に各国中銀との米ドル供給スワップラインを拡充してようやくリスクオフの米ドル高が反転し、米

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    zu2 2020/07/28
  • S&P 500は経済再開・V字回復期待が剥落 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    S&P 500は週間値幅3005 -3155と再び2970 -3140のレンジに概ね収まった。週明けはまずナヴァロの失言で一回クラッシュしかけたが、直ちに否定された後はショートカバーが優勢となった。しかし24日に発表されたIMFの世界経済見通しが悲観的であった、また無視され続けてきた米国の感染者数がようやく経済再開の足を引っ張るようになったことから、3140をやや超えたところから再び反落した。値幅、そして上にも下にも行きづらかった地合いも含めて先週の記事で記した「先週の値動きから3140は相当のグッドニュースに耐え抜いた非常に強いレジスタンスとして復活する。3140を仮に突き抜けたとしても上ではまだ雇用統計アイランドが待っている。先週よりは全てを無視して上がり続けそうな勢いが衰えているように見えるので、先週よりも押し目買い回転が面白くなくなる。一方、先週週明けに付けた2900後半の水準では

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    zu2 2020/07/04
  • ポストコロナに供給過多デフレに陥りつつある中国 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    一足先にCOVID 19対策の経済活動停止から脱却した中国経済について、久々にアップデートしてみたいと思う。同日に発表されることが多く何かと比較されることが多い中国の鉱工業生産と小売売上高は、ロックダウン明けに鉱工業生産の方がさっさとプラス成長に戻っているのに対し、小売売上高の戻りは鈍いという対照的な図となっている。公式失業率はほとんど伸びていないものの、個人経営ビジネスへの打撃などで明らかに人民の所得が激減しているし、米国のように大盤振る舞いなばら撒きが行われているわけではないので、当然買い物どころではない。GSの消費者活動トラッカーも消費活動が戻りきれていないことを示唆している。もっとも資生堂のようにリベンジ消費でコロナ前への完全回復を見ている声もある。 財新サービス業PMIがパッとしないのも同じ示唆を示している。MarkitPMIの質問票は「前月比」で改善・悪化を問うている。従って

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    zu2 2020/05/17
  • 中国の豚インフレがブラックスワンの領域に : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    週末発表された中国のCPI /PPIは最悪の組合せとなった。豚コレラの影響によりCPI伸び率はインフレターゲットの3%を大きく飛び越えて3.8%を付け、一方PPIは貿易戦争の影響もあってマイナス域での低下が続いている。豚肉価格については夏に取り上げた構図は変わっていない。 元々生産者物価で物を作って消費者物価で売るだけなのでPPIとCPIが極端に乖離することは珍しく、特に2015年まではよく連動していたが、2015年以降は両者の連動は完全に切れた。中身を見てもCPIの少なくとも半分(サービス30%と品20%)はPPIに含まれていない。 またCPIは2015年までM1, 2017年までM2にそれぞれ遅行していた(つまり、お金を刷ればCPIもPPIも上がるというシンプルな話であった)が、最近はどちらも連動が切れている。M2との連動はややこじ付けに近く、やはり中国ではM2よりM1であることがこ

    中国の豚インフレがブラックスワンの領域に : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
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    zu2 2019/11/13
  • 人民元の対ドル7.0突破を祝福する : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    8/5に人民元が対ドルで2008年以来初めて7.0(1ドル=7人民元)を超えて下落した。人民元は対ドルでリーマンショック前から一貫して緩やかな上昇を続け、それが持続不可能になった2015年にはチャイナショックによる下落容認を経てここ4年ほどは6.2 -7.0のレンジで取引されていたが、その上限(人民元安側)を突破したわけである。ブログは「貿易戦争における中国の弱点はやはり外貨準備」において「中国の外貨準備はIMFが考える必要額をチャイナショック前後から急速に割り込み始めた」「中国の至上命題はあくまでも愚直にコツコツと経常黒字を維持することである。25%関税のインパクトを打ち消すことができるのも、また愚かしい爆買いで海外サービス赤字を垂れ流して貿易・サービス間の歪みが拡大するのを阻止できるのも人民元の大幅な切下げである」「貿易戦争により7.0という数字にはますます政治的な意味が付与されてい

    人民元の対ドル7.0突破を祝福する : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
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    zu2 2019/08/12
  • Who is 胡錫進 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    貿易戦争のヘッドラインが飛び交う中でにわかに脚光を浴びているのは環球日報(Global Times)編集長である胡錫進(胡锡进, Hu Xijin)のTwitterアカウントである。中国当局に近い人間にしては珍しく(土からのアクセスを禁じられている)Twitter中国当局寄りの意見や予想を流暢な英語を発信し、フォロワー数は36,000人を超える。英語ユーザーからLaoshi(老師)と呼ばれて質問されたり、またBloombergをはじめとするメディアや金融関係者も平気でソースとして引用するほど有名になってしまっている。この胡錫進は何者だろうか。 環球日報は「China's Fox News」とも紹介される保守誌である。その政治的スタンスは当局の公式見解よりも保守的であり、2016年のFTの記事は上のような世界観を紹介している。つまり、ほとんどギャグである。人民日報の子会社だからと言って「

    Who is 胡錫進 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
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    zu2 2019/05/31
    “環球日報は「China's Fox News」とも紹介される保守誌である。その政治的スタンスは当局の公式見解よりも保守的であり、2016年のFTの記事は上のような世界観を紹介している。つまり、ほとんどギャグである”
  • 貿易戦争における中国の弱点はやはり外貨準備 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    我々は貿易戦争映画小説のようなノリで見ているが、特定の企業や技術で勝った負けたは瑣末でしかない。中国の最大の弱点はチャイナショックの時と同じく、あくまでも外貨準備であるとブログは考えている。チャイナショックにおける人民元切下げや崩壊を狙った取引が厚い外貨準備の壁にぶつかってことごとく失敗してきたので、今回も人民元レートの話になると人々は学習の結果もあって「外貨準備があるからどうせ動かない」と思考停止しがちである。 図は前回の記事の使い回しであるが、中国の経常収支(黒線)とその各要素の寄与である。中国の経常収支は歪みが大きいのが特徴であり、コツコツと稼いだ貿易黒字を近年になって急速に「旅行」(サービス収支)の赤字で散財しており、今にも経常赤字転落しそうな水準になっている。旅行、つまりいわゆる「インバウンド爆買い」の解釈は難しく、格差の拡大と共に13億の人民が稼いだ貴重な外貨を一部の腐敗

    貿易戦争における中国の弱点はやはり外貨準備 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
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    zu2 2019/05/31
    “米国が中国に売れる品目はあまりにも少ないのであり、この背景を理解せずに米中貿易不均衡をなくそうと言い出しても当然無駄な努力となる”
  • 米国消費者が支払う関税の話をしよう : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    我々は米中貿易戦争における中国のアキレス腱を見てきた。カタストロフィックな話はウケが良いようで、プロの偉い人にもその記事を回覧して頂いたようだが、公平を期するためにも次は米国の弱点を見て行きたいと思う。 言うまでもなく米国の弱点はインフレ耐性である。関税を払うのは中国企業だけでなく米国の輸入企業と消費者でもある。我々は伝統的に中国製品への軽蔑から「中国製品はローテクで競争力が弱く、すぐに他国製品に代替されるため米国は無傷で済む」と考えがちであるが、果たしてそうだろうか。 ここで貿易戦争に先立って2018年1月からトランプ政権により「120万台を上限とする輸出割当分について関税20%、120万台を超える分については関税50%」を掛けられた洗濯機の例を見てみると、月間35万台あった輸入台数が半減し(つまり概ね実効関税が30〜40%程度と推定)、洗濯機の価格は12%上昇した。メーカーのサムスンや

    米国消費者が支払う関税の話をしよう : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
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    zu2 2019/05/31
    “米下手に非中国製製品に代替されながら便乗値上げされると、単に米国消費者がサムスンあたりに便乗値上げ分を支払うことになる”
  • ペンス副大統領と学ぶ中国史 : 金利とセンチメントから資産価格を考えるブログ

    ペンス副大統領による10/4のハドソン研究所でのスピーチが中国への宣戦布告に近いと、一部で波紋を呼んでいる。現状に対する徹底的な非難もさることながら、特徴的だったのはまず米中関係の歴史を、まるで離婚する夫婦が過去の出来事や期待を振り返っては被害者意識を炸裂させるかのように全面的に振り返っており、米国の失望感と幻滅感を際立たせている。 履歴からしてペンスが中国史に詳しいはずもないので、このスピーチ原稿は中国専門家など相当充実したスタッフが起草に関わったであろうことがわかる。以下、ペンスが触れた中国史について振り返ってみよう。 「米国の宣教師が中国に初めて福音をもたらした時、彼らは歴史を持ち活気に満ちた人々と豊かな文化に感動した。また彼らは信仰を広めると同時に中国の初めての、また最高の大学を立ち上げた。」 大学ランキング中国勢の双璧といえば清華大学と北京大学であるが、双璧は共に米国と縁深い。

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    zu2 2019/05/31
  • 中国の金融緩和と同じく財政拡張にも限界 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    2019年に入って中国が矢継ぎ早に打ち出す財政拡張策に対する市場の期待は高い。足元の指標がどんなにパッとしないとしても財政(減税)さえ控えていれば無視しても許される雰囲気があった。もちろん個人所得とVATの双方の減税は長期的に経済に有益であることは間違いないが、こちらも無限に効くわけではない。今が2016年であり、これから2017年のように中国の財政・金融緩和が世界景気と資産価格をブーストする、と前のめりに決め付けるのは危険ではないか。 チャートは中国の経常収支である。上図のグレーの線(青線の平均移動)と下図の「Balance」は同じチャートである。2001年のWTO加入以来、中国は貿易黒字を中心に巨額の経常黒字を積み上げて来たが、フロートしての経常黒字は足元で急速に減少しつつある。下図の内訳によると、緩やかに減りつつある貿易黒字を、インバウンドで知られるサービス収支(海外旅行の支出)が急

    中国の金融緩和と同じく財政拡張にも限界 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
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    zu2 2019/03/29
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