NPO法人日本洞穴探検協会(本部・千葉市)は8日、福島県田村市滝根町のあぶくま洞内で、新種とみられる鍾乳石を発見し、「あぶくま石」と命名したと明らかにした。 あぶくま石は今年9月中旬までに、洞内の最奥部にある「リムプール」と呼ばれる鍾乳石の水たまりから、約60個発見された。直径約2〜5センチの球状か楕円状で、内部に白い約5ミリ前後の核があり、薄茶色の針状の結晶で覆われている。 多くの鍾乳石は、内部が年輪のような構造になっているが、あぶくま石は、核の部分から直接針状の結晶が外に向かって成長しているのが特徴。水中の結晶は転がりながら成長し、表面が丸く削れるのが通常で、針状の結晶が残るのも珍しいという。 同会と共同調査した独立行政法人産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は、この鍾乳石を「針状甲球体」と分類している。同会は「同種の鍾乳石を記録した論文はなく、世界的にも珍しい」としている。