キーワードは「逆廻し」 2016年の中東情勢を一言で表せば、「逆廻し(リバース)」であろうか。 2015年の終わり頃から、中東各国の内政や外交が原点回帰とも言える方向へと進んでいった。その原点とは、2011年の民主化運動「アラブの春」が起こる前の、非民主的で強権的な政治がはびこっていた状況である。 つまり、「逆廻し」とは、「独裁の復活」に他ならない。 それは、中東の混乱をある種の収束へ、言い換えれば、「自由」と引き替えの「安定」へと向かわせるニュアンスを持つ一方で、将来への希望を人びとから奪っていくプロセスでもある。 「独裁の復活」は、なぜ起こったのか。それは、中東政治、広くは国際政治にとって、どのような意味を持つのだろうか。 エジプトでよみがえった軍政 中東における「独裁の復活」は、各国で民主主義がどの程度実現しているかを表す指数から読み取ることができる(エコノミスト・インテリジェンス・