来る11月2日、全国に179か所ある手形交換所が143年の歴史に幕を下ろす。 90年代、新卒で銀行に就職して初めての仕事が手形交換だった。毎朝、約束手形の束を持って手形交換所を訪れた。全国179か所ある手形交換所のうち県庁所在地を除けばその9割は地域一番行の支店にある。筆者の初任地の宮城県石巻市も七十七銀行石巻支店の2階の一室に石巻手形交換所があった。ここに七十七銀行の市内各支店(僚店)、他行の石巻支店、信金、信組、農協の担当者ら15人ほどが毎朝9時前には集合していた。 交換所、というか他の会議室と変わりない一室には長机が“ロ”の字に並べられ、各金融機関の指定席があった。部屋に入ると、まずは出かける前に仕分けした手形をそれぞれの席に配って歩く。 ひとまわりしてから着席し、次は自席に配られた手形を揃えて束にする。金額を集計し、持参した手形と持ち帰る手形の合計を残高一覧表の左側と右側に記入して