必要な情報をすみやかに伝えよ 小山真人(静岡大学防災総合センター教授) 東日本大震災に関して、どうしても許せないことがある。それは福島原発災害に関して、政府や一部のマスメディア・団体・企業等が明らかに情報操作をした(している)ことである。ここで「情報操作」とは、情報の隠蔽・制限・自粛・遅延・矮小化・不明確化などの実施・要請・容認のすべてを指す。そして、その理由については「パニックを防ぐため」と説明されることが多い。 しかしながら、災害情報が深刻なパニックを引き起こした事例はきわめて稀である上に、実際に警報として伝えても思ったほどには避難してもらえない実態が、長年の研究によって明らかになっている。つまり、災害情報=パニックという固定観念は、誤った思い込み(パニック神話)である。 そもそもパニックは、危機的状況の認識、逃げ道の不足の認識、情報不足、の3つすべてが成り立たないと発生しない。逆にこ