1990年代末の日本を席巻し、のちの「ネット右翼」の誕生を導くことになった小林よしのり氏の『新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論』。その思想的な拠り所が、保守の論客・渡部昇一氏の『かくて昭和史は甦る――人種差別の世界を叩き潰した日本』にあることが、前回の考察で明らかになった。その続きとなる今回は、いまなお決まり文句のように語られる「慰安婦問題免罪論」、そして「大東亜戦争肯定論」の淵源を両書から探る。 ※バックナンバーはこちら⇒http://gendai.ismedia.jp/list/author/tsunehirafuruya 「直接やってない」から免罪? 日本の朝鮮支配に関する渡部史観のトンデモは、1990年代後半に話題沸騰となっていた、前述のいわゆる河野談話、村山談話にも向けられることになる。 無辜の朝鮮人女性が、経済苦から慰安婦に転落していった事実を、渡部は同書の中で、 「慰