中国・紹興にある大禹陵。紹興は水路が網の目のように走る水郷都市で、春秋時代越国が会稽という名で都にした所。大禹陵は会稽山の広大な敷地にあるが、新しくつくられた建物や像が多く、本来の姿を想像するのは難しい。 日本にとって、中国は社会制度やもろもろの文化の手本であり、長らく、師と仰ぐ対象でした。しかし、中国文明の基層を理解するのはなかなか難しいことです。そこで、長い歴史を持ち、深くて広い中国文明の基層を分析し、理解することによって、禹の問題についても理解を深めたいと思います。 東京大学名誉教授 文学博士 蜂屋 邦夫(はちや くにお)さん 1938年東京生まれ。1963年東京大学教養学部教養学科アメリカ分科卒業、1968年同大学院人文科学研究科比較文学比較文化博士課程満期退学、同年東京大学東洋文化研究所助手、1974年助教授、1975年より同大学院人文科学研究科(1995年に人文社会系研究科と改