古書業界では馴染みのある社史も、社員や関係者への配布がほとんどの非売品なので、世間的に認知されているとは言い難い。その社史を約1万8千冊コレクションしている公共図書館があるのは意外かもしれない。くわえて、司書の仕事は外から見てわかりやすいとはいえず、その中でもかなり特殊な取り組みをしてきた。このような「社史」と「公共図書館」と「司書」が融合してどうなったか。本書は神奈川県立川崎図書館の社史室における5年間の実践を記した一冊、もちろん実話である。ニッチなテーマの集合であるが、図書館に勤めているかのような感覚で、楽しく読みすすめられるように書いた。 同業者以外の知人に感想を聞くと、大方の反応は「こんなことまで図書館員がやっているとは知らなかった」であり、私自身が数年間を振り返っても「こんなことをやるとは思わなかった」というのが本音である。 社史室の担当になって5年間、思い付いたアイデアは、小回