8.「♩...♩...」ニッカは必死にリズムを刻んだ ナッパは正門脇にある自転車置き場の前で待っていた。『いやあ、お待たせしてゴメン。さあ行きましょうか』と言おうとしたクマは、彼女の隣にニッカが立っているのを見て、思わず言葉に詰まってしまった。 「ニッカが付き添いで来てくれるって。」ナッパは嬉しそうに言った。 アガタはクマの不運を笑いながら行ってしまい、てっきり彼女が一人で来るものと信じ込んでいたクマは、仕方なしに二人を促して歩き出した。 尤も考えてみれば、いくら同級生とは言え、男子ばかり屯している場所に女の子一人で行く事に不安を覚えるのは至極当然の事であった。しかし人生経験の浅いクマは、そこまで読み切れなかったのだ。 『何か話さねば』この機会にナッパとの距離を少しでも縮めたいと焦るクマの前には、お馴染み「インケングループ」の見えない壁が立ちはだかり、彼を拒んでいるかのように二人はケラケラ