著名な人類学者で、ベストセラー『負債論貨幣と暴力の5000年』(以文社)など、日本のビジネスパーソンにもファンが多いデヴィッド・グレーバー。彼が2013年に『BullshitJobs(どうでもいい仕事)』というエッセーを雑誌に掲載した後、英国の世論調査で37%が「自分の仕事は世の中に意義のある貢献をしていない」と回答。オランダでも40%が自らの仕事の妥当な存在理由がないと答え、世界に衝撃を与えた。 なぜこれほど多くの人々が「どうでもいい仕事」を行い、資本主義社会はそれに対価を払い続けているのか。グレーバーがエッセーを基に2018年に上梓した著書『ブルシット・ジョブズ―どうでもいい仕事の理論』からエッセーと仕事の例を中心に一部を紹介する(日本語版は、岩波書店より19年末刊行予定)。 1930年、経済学者のジョン・メイナード・ケインズは20世紀末までにはテクノロジーの進歩によって欧米諸国で週1