9.11がなかったら幸せだったのか 「もしあの忌まわしい出来事さえ起こらなければ」―、そう思うことは誰にも一つや二つあるものです。太平洋戦争がなかったらよかったのに。原爆さえ落ちなければ。もしくは、阪神大震災のような自然災害も事前に起こるとわかっていたなら。そうなっていたら、どんなに多くの命が救われただろうか。 でもじゃあ、これらの出来事が未然に防げたり予知できて、本来死んでいた多くの人が生き延びたら本当にそれですむのだろうか。 残酷な話だけれど、その人はその時死んでいるべきことが、あらかじめ神様が作った歴史書の中に刻まれていたんではないか。生き死にの話だけでなく、男と女の別れ話や、泥棒に入られたりといった事件・事故に巻き込まれるといった大小の不幸も、人間には偶然の出来事に見えても、実は最初から神様などによって決められていた必然だったのではないか。 タイムパラドクスものの小説に浸ると、何と