2011/4/510:34 東日本大震災と日本の転機 高原基彰 まず、今回の震災で被災された方々に、お見舞いを申し上げたい。被災地の方々にあっては、以下の議論など気楽なものに思われるかもしれないが、どうかご容赦を頂きたい。 ◇真相と流言のあいだのジレンマ◇ 現在、マスメディアによる報道、およびインターネットで交換される情報のかなりの割合は、福島第一原発の事故に端を発する放射性物質の影響をめぐるものに占められている。この点に関して、今もっとも読まれるべき書物のひとつが、1937年に出版された清水幾太郎の『流言蜚語』だろう。 では「真実のb」が報道されさえすれば良いのだろうか。清水は、それほど単純ではないという。結局のところ、何が「事実」なのかを、万人の同意するかたちで定義できる情報というのは、じつは非常に限られたものだからである。 社会や政治に関わる事象、また人々が関心をもつ事象の多くでは、