研究者たちの挑戦 さまざまな国で大きな社会的課題となっている自殺。 普遍的な予防策は存在するのでしょうか。 実証政治経済学の視点から自殺予防へのアプローチを紹介します。 実証政治経済学が挑む 自殺予防のメソッド 人身事故に疑問を持ったことが自殺予防に取り組むきっかけに 政治学を専門とする私が、自殺予防の研究に取り組むようになったのは、当時暮らしていたアメリカのボストンから日本に帰国した際、首都圏では毎日のように電車が人身事故で止まることに疑問を感じたからです。15年間過ごしたアメリカでは見聞きしたことがないのに、なぜ日本では人身事故が多発するのか。政府の自殺防止政策はどうなっているのか。効果のある対策として何が求められるのか。さまざまな疑問が浮かぶ中で、社会的な背景を探ることが必要である、との結論に行き着いたのです。 自殺に関する研究は、これまで医学の分野が中心で、うつ病などとの関係の解明