全くこんな敏感な部分が恥ずかし気もなく下半身から飛び出ているんだから人間の体ときたら不完全だ。PCのモニタから視線を外し下に向ける。赤黒く腫れ上がり疼く体の一部を右手で擦ると思わず「うっ」と声が漏れた。 足の小指を強打したのは13歳の時以来だ。あの時は骨折した。それ以来人一倍神経を使い、歩行の際は足を前に放らず爪先を立てそっと下ろし、狭い場所では必ず足元に注意を払い30年間生きて来たが結局この様だ。 そもそもなぜこんな脆弱な形を成しているのかが分からない。狭い住宅、床置きの家具、土足厳禁スタイルで暮らす人間の足としてあまりにも無防備。象が羨ましい。あのどっしりとした頑丈そうな足。タンスの角にぶつけてもタンスの方がぶっ壊れるだろう。馬のように着地面全体が硬い爪になっているのも悪くない。 加えて今回の怪我には人間の不完全さの他にもう一つ原因がある。小指で思い切り蹴り付けた仕事部屋の椅子は本来な