各国で注目される選挙が近づくたびに必ず耳にする言葉がある。ポピュリズムだ。大衆迎合主義とも訳され、批判する文脈で使われる。でも、大衆が決めるのは民主主義の基本のはず。大衆に迎合して決めたら、なぜだめなのか? 「今日はみなさんの一日。米国はみなさんの国です」 今年1月の就任演説で、米国のトランプ大統領はそう語り、国民の団結を訴えた。選挙戦でトランプ氏はツイッターで虚実ない交ぜの情報を発信するなどして関心を集め、既存の政治に不満や怒りを抱く人たちの心をつかんで支持を拡大。民主主義のダイナミズムの成功事例にも見えるのだが、ポピュリズムの典型例として批判も根強い。 ポピュリズムの特徴は、極端に単純化した争点を掲げる、大衆の欲望を読んで「敵」を見つけて攻撃する、などが挙げられる。「みなさんの国」と語ったトランプ氏も他の集会では「市民の団結が重要だ。他の人たちはどうでもいい」と発言。「みなさん」に含ま