ヴェネツィアで見て、バーゼルで買う。 これが現代アート業界の合言葉だ。ヴェネツィア・ビエンナーレで品定めをし(隔年開催)、アート・バーゼルでめぼしい作品を手に入れる(毎年開催)。2つのフェアの開催地と開催期が近いこともあって、いつのまにかここにアートビジネスのグローバルな日付変更線だか変動相場制だかが、賑やかに、曰くありげに、生き馬の目を抜くようにできあがっていた。 ヴェネツィア・ビエンナーレは国単位で出展される。各国のパビリオンには毎年コミッショナーやディレクターが選ばれてコンセプトやテーマを設定し、それにふさわしいアーティストたちが制作にあたる。一方のアート・バーゼルには世界中の300近いトップギャラリーが参加するが、招待状がなければ入れない(いまはアート・バーゼル香港、アート・バーゼルマイアミ・ビーチもある)。 どちらも画商とお金が動くが、むろんそれだけではない。アーティストも批評家