宮﨑駿監督『君たちはどう生きるか』をみました。以下、感想。 暗闇の都市に、鳴り響くサイレン。病院で火災が起こったという。飛び起きる少年。少年の母は病院に勤めていた。少年は火災によって熱されゆらめく大気のなかを走る。母は亡くなる。 母の死後、いやます戦禍を逃れ、少年と父は東京から去る。去った先は亡き母の実家。どうやら父は、母の妹と再婚しようとしているようだ。古めかしい田舎の大屋敷で、継母と、年老いた女中たちとの暮らしが始まる。大屋敷には、母の大叔父が建てたという奇怪な塔の廃墟があった。大叔父はそこで消息を絶ったという。炎にまかれる母の幻影にうなされ、そして夢かうつつか、不気味に語りかけてくるアオサギにつきまとわれる少年。そして継母が塔に誘われ神隠しにあい、少年は継母をさがして塔のなかへと足を踏み入れる。そこはまったく見知らぬ、黄泉の国にも似た世界へと通じていた。 公開日当日まで、ポスタービジ
宮崎駿監督の新作「君たちはどう生きるか」ポスター=スタジオジブリのTwitterより 「私自身、訳が分からない」 「おそらく、訳が分からなかったことでしょう。私自身、訳が分からないところがありました」。 2023年2月下旬、東京都内のスタジオで上映された、「君たちはどう生きるか」の初号試写。米津玄師の歌うピアノバラードが流れ、エンドロールが終わった瞬間、灯りが点き、宮崎駿監督のコメントが読み上げられた。 客席から軽い笑い声が漏れた。私もその一人だった。あまりの展開の速さと、盛り込むだけ盛り込まれた情報を消化しきれず、茫然と座り込んでいたが、その言葉で我に返った。 これは「宮崎アニメ」の集大成なのか、吉野源三郎の著書『君たちはどう生きるか』の再解釈なのか。とにかく、1回見ただけではとても全容を把握できなかった。 「自分のことをやるしかない」 今回の作品は、公開前のプロモーションも、メディア関
リンク 集英社 ― SHUEISHA ― 事件は終わった/降田 天 | 集英社 ― SHUEISHA ― 年の瀬に起きた痛ましい〈地下鉄S線内無差別殺傷事件〉。突然、男は刃物を振り回し、妊婦を切りつけ、助けに入った老人を刺殺した。時は過ぎ、事件に偶然居合わせてしまった人々には、日常が戻ってくるはずだった───。会社員の和宏は、一目散にその場から逃げ出したことをSNSで非難されて以来、日々正体不明の音に悩まされ始め……(「音」)。切りつけられた妊婦の千穂は、幸いにも軽傷で済んだが、急に「霊が見える」と言い出して……(「水の香」)。事件発生直前の行動を後悔する女子高生の響が、新たな一歩を踏み出すために決心したこと
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