人間だけの舞台に、それを観る観客の人間たち。デイヴィッド・バーン、11人のバンドメンバー、観客。そして、それぞれの間にある空気を満たす音楽。舞台上には、マイクやドラム、配線すらもないのだ。ふと気が付けば、その空間に流れる音に身を委ね、まるで自由な航海のように身体が揺れている。音楽はとても楽しい。それに尽きる。 金属製の鎖でできたストリングカーテンに囲まれた舞台はモノトーンでシンプル。その箱型の舞台セットはまるでブラウン管テレビのようにも見えるが、劇場では、テレビ画面を覗き込んでいたらその中に吸い込まれてしまったような不思議な臨場感に包まれていることだろう。その舞台上で、デイヴィッド・バーンは彼の信頼するバンドメンバーたちとともにグレーのスーツ姿に素足で歌い踊る。人生という時間の中で生きることは何ともやっかいなことで、それについて「なあ、聞いてくれよ」と言わんばかりに、語るように歌う。そして
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