現代の権威主義体制の代表と言われ、盤石にも見える中国とロシア。だが、そこにほころびはないのか? 中露の専門家が指導者、政軍関係、国民性など、多角的な観点から徹底解剖する。 (『中央公論』2023年3月号より抜粋) プーチンと習近平、指導者像の違い 小泉 初めにお話ししたいのが、独裁国家と言えば、当然のように中露がその代表格とされることが多くなったことについてです。というのも、私の10年前の感触は大分違いました。ロシアで言えば、2012年にプーチンが首相から大統領に復帰した頃でさえ、権威主義的な指導者ではあるものの、中国に比べればまだ社会に自由があると考えていました。ましてや北朝鮮とは全然違うと、ロシア人もそう説明していました。中露の両方を研究しておられる熊倉先生はどう思いますか。 熊倉 私も同じ認識です。ロシアにおける権威主義化、独裁の強化が進んだのは2010年代になってからだと見ています